僕が苦くしたチョコレート

今週のお題「わたしとバレンタインデー」

 

このお題を見た瞬間、幼稚園の頃に経験した苦い思い出と当時の未熟さが蘇った。

僕が幼稚園に通っていた時の話。

クラスは男女合わせて30人くらいで、確かひまわり組。比率としては女子の方が多かった。

 

朝、クラスのみんなが集まると一斉に外に飛び出して上半身裸になり、鉄棒をし、走り回り、追いかけっこするよくわからない習慣があった。

 

そんな場所にも訪れるバレンタインの日。

まだこの日の意味をあまり理解していなかった僕は、うきうきもせずいつも通り幼稚園に行った。

 

そしてその日のホームルームが終わり、帰りの支度をみんながしはじめ、なんだかぎこちない雰囲気が教室に溢れた。

 

すると、隣に座っていた女の子がこっそりと

「これあげる。バレンタインだから」とチョコをくれた。嬉しかった。

僕は「ありがとう」と照れながらお礼を言った。

すると、その隣に座っていた子や前に座っていた子、1番離れた斜め右前に座っていた子も僕にチョコレートをくれた。

記憶は確かではないが12.3個貰った。

そしていつも背負ってるリュックにチョコレートをしまい、帰ろうとした。

 

ここで終わりたいのだが、

苦い経験の話はここから。

 

チョコレートをリュックにしまい、教室を出ようとした時、ある男の子(A君)が泣きながらこちらを見ていた。

A君は僕より多くチョコレートを貰っていたが、好きな女の子(B子)からは渡されなかった。あいにく僕はB子からチョコレートを受け取っていた。

少し時間を置き、状況を理解できた僕はB子から貰ったチョコレートをA君に渡してしまった。

(受け取る方もどうかと思うが、A君も同じくアホでした)

するとA君はニコッと笑い、仲良く2人で向かいに来てる親の元へ行きそれぞれの家に帰った。

 

その日の夕方、当然のようにA君の母親から僕の母親に電話がかかってきた。

僕宛のチョコレートをA君が持っていると。

僕は何食わぬ顔でその時の状況を話した。もちろん母親は怒った。(当たり前だけど)なにしているのと。その時バレンタインデーに貰うチョコレートの意味をしっかりと叩き込まれた。

 

その後すぐさまA君の家にチョコレートを取りに行き、B子の家に謝罪の電話をした。

 

その日の夜、B子から貰ったチョコレートを食べた。苦かった。B子の気持ちを踏みにじった申し訳なさと、自分の情けなさのせいで。

本当にアホだなぁと。

 

今、当時を振り返りながら書いていたがふと思う。

悲しんでいるA君にチョコを渡した自分と今を生きている自分で何か変わったろうか。

いろんな物事を表面的に捉えず、その本質を見抜けているのかなと。

どちらかと言うとできていないかもしれない。できるようになりたい。できなきゃまずい…

頑張ろう。

 

 

 

さぁ今年はチョコレート貰えるかな。

受け取ったら他の人に渡さないようにね。

 

 

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